神経治療(根管治療)をより詳しく②(国内の根管治療の現状と課題について)|松井デンタルオフィス|流山おおたかの森駅西口の歯科医院

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神経治療(根管治療)をより詳しく②(国内の根管治療の現状と課題について)|松井デンタルオフィス|流山おおたかの森駅西口の歯科医院

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こんにちは!流山おおたかの森駅西口の歯科医院松井デンタルオフィスです。

歯内(根管)治療のお話の第2回目です。

前回は歯の構造と当院で使用するラバーダム、マイクロスコープ、CT,Ni-Tiファイル、根管治療専門医のお話をしました。特にラバーダムが重要で、「根管内に自身の唾を入れないために行うもの」とお伝えできたと思います。

 

今回の本題に入りましょう。

2011年に日本歯内療法学会誌にて東京医科歯科大学の須田英明先生が

わが国における歯内療法の現状と課題」というタイトルで発表をされています。

そこで国内・国外のデータを合わせながら、当時の日本の歯内療法(根管治療)について話をしています。

東京医科歯科大学は、マイクロスコープを用いた歯内療法(MicroEndodontics)に対して、専用HPでのページを作るようにマイクロスコープを使用した根管治療に早くから注目をしている大学です。

論文内のトピックを簡単に3つにまとめてみましょう

①日本の歯内療法(根管治療)の現状

平成21年の1年間で行われた歯内療法(抜髄治療、感染根管治療の合計)は計1,350万例以上で、その内訳は抜髄600万症例、感染根管治療750万症例。

根管処置した歯における根尖X線透過像の発現率は非常に高い(東京医科歯科大学調査)

2011須田英明「わが国における歯内療法の現状と課題」より抜粋、改訂

各歯牙における根尖X線透過像発現率:2011須田英明「わが国における歯内療法の現状と課題」より抜粋、改訂

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本の症例数は診療による保険請求の回数を元に算出されています。日本では日々膨大な数の歯内療法が行われていますが、治療済みのはずの歯で「根尖X線透過像」が多数確認されたと東京医科歯科大学の調査でわかっています。この「根尖X線透過像」とはいわゆる「根の先の膿」です。根の先までバイキンに「感染」しているという状態を表しています。

初めての歯内療法である抜髄の場合は、根尖に膿はありません。ので、抜髄後に根尖まで細菌感染を起こしたために根尖透過像ができた・・・抜髄治療の失敗ということになります。

抜髄治療中にラバーダムを行わず、治療中から唾液由来の菌の感染を起こしてしまう場合や、抜髄治療自体は問題なく行われたが、①補綴物の精度が悪かった②歯自体のヒビなどの隙間から菌が感染した・・・など、様々な要因がありますが海外の抜髄治療の成功率が90%を超えるという論文もある中で、日本の歯内療法の厳しい現状となっています。

 

②WEC(World Endodontic Congress)において「1990〜2010の20年間で歯内療法に顕著な発展がみられた機材、材料」が発表された

その8つがこちら。

マイクロスコープ、Ni-Tiファイル、超音波器具、電気的根管長測定器、システムB、GP、MTA、CT

当院では上記8つのうち、7つ(システムB以外)を既に導入し、保険診療でも自由診療でも使用しています。(保険診療におけるMTAはMTA成分含有製品を使用。自由診療においては純MTAに近い製品を使用しています。)

マイクロスコープは治療台5台中3台に設置しており、どの歯科医師でもどの時間に診療を受けてもマイクロスコープでの根管治療を受けることができます。システムBは根管充填方法の名称です。専用の機器を用いた根管充填法で、機器のみだけでなく技術習得が必要なため、まだ当院では導入できていません。今後は各歯科医師の意見を聞きながら、早期に導入できるようにしたいと思います。

 

③日本の根管治療におけるラバーダムの使用率(根管治療で必ず使用している割合)

一般歯科医師5.4%、日本歯内療法学会会員25.4%しか使っていない事が判明。

日本歯内療法学会は根管治療の学会で、一般会員から専門医を含め2700名(2022年時点)の会員がいます。歯内療法学会に所属する先生でもラバーダムを必ず使用している割合は25%ですから日本の歯内療法における一番の問題点はやはりラバーダムの使用率の低さだと思います。この論文は2011年ですから、近年は前よりも使用している医院も増えてきてはいますが、皆様の普段通われている歯科医院ではいかがでしょうか?

国内においてCT,マイクロスコープの導入率は近年非常に伸びており、歯科医院で「CT,マイクロスコープ」の文字は決して珍しいものではなくなってきました。マイクロスコープは根管治療のみならず、ダイレクトボンディングや外科など様々な治療で有効なものなので日常的に使用している先生も増えていると思います。

ただ、根管治療に関しては「菌の侵入・感染を防ぐ」という点に着目すればラバーダムがより重要になります。海外との根管治療の成功率の差は、これが原因と考えられると推測されます。

 

歯内療法は非常に専門性が高い分野になります。

アメリカ歯内療法学会(AAE)では根管治療の難易度判定基準を作成しており、一定以上の難易度の場合には専門医への紹介を進めています。当院でもなかなか痛みなどがひかない患者様もどうしてもいらっしゃいます。ラバーダムをして治療を行っても、やはり専門医の先生の技術には残念ながら達していません。

私達松井デンタルオフィスでは歯科医療の知識を患者様に正しく伝えることでデンタルIQを高め、患者様自身での予防歯科を実践していただくこと、治療に関しては保険、自由診療問わず今行える最善を考え、どうしても改善しない場合には専門医への紹介し、「根管治療での痛みが取れないから抜歯(※1)しましょう」という結論にならないよう努力しております。

 

※1:根管治療において痛みが発する原因は様々あります。もし、痛みが歯根のヒビ、破折に由来しているものであれば専門医でも抜歯となります。ここでは、ヒビもなく破折もない状態で根管内に汚れ(菌の栄養源)が取れないための痛みのことを指します。

 

松井デンタルオフィス

 

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