咬筋ボツリヌス治療
咬筋ボツリヌス治療
奥歯の同じところに虫歯を繰り返していたり、しっかり歯磨きができているのに虫歯や歯 周病になりやすい方は、もしかしたら気付かないうちに歯を食いしばっていたり歯ぎしりをしているかもしれません。食いしばりや、歯軋りから起こる歯のヒビ、亀裂を伝って虫歯菌が入り、虫歯を作る事があります。
私たちの歯は上下で噛み合うように並んでいますが、実際に上下の歯が噛み合っている時 間は1日に20分程度しかないと言われています。普段口を閉じている時も奥歯まで噛み合うことはなく、会話や食事をしている時に歯と歯が接触している時以外は、歯と歯の接触は起きません。それ以上に歯と歯が接触している時間が長い場合は「上下歯列接触癖 (TCH:Tooth Contact Habit)」が疑われます。上下歯列接触癖(TCH)は放っておくと、顎関節症や虫歯の原因となる恐れがあります。
また歯周病、虫歯の次に抜歯の原因となるのは、「歯の破折」です。咬合力はコントロールがしづらく、歯磨きや検診をちゃんと行なっているのに、虫歯や歯の喪失が起こる場合、ご自身の咬合力が関係している場合がございます。
食いしばり、歯ぎしりの治療には、原則マウスピース治療や生活改善の指導を行いますが、それでも改善が得られない方や、マウスピースを就寝時装着する事が困難な方には咬筋ボツリヌス治療をお勧めしています。
咬筋ボツリヌス治療は、ボツリヌス菌から抽出される天然のたんぱく質(ボツリヌストキシン)を筋肉へ注射し、神経から筋肉への命令伝達を阻害することで異常な筋肉運動を和らげたり止めたりすることで効果を発揮します。筋肉の緊張を和らげることにより、食いしばりや歯ぎしりの改善、また、顎に力がかかりすぎるのを防ぎ、顎関節症状の緩和にも効果が期待できます。ボツリヌス菌そのものを注射するのではないため、感染などの心配はありません。
咬筋ボツリヌス治療の効果は、個人差はありますが3~6か月程度継続します。効果は永続的ではなく、また、効果が出るまでの期間にも個人差がありますので、食いしばりや歯ぎしりなどの症状がなくなってきたと実感できるまでは定期的に治療を受けていただくことをお勧めします。
カウンセリングを行い、咬筋ボツリヌス治療の適応となるか 歯科医師が判断します。
顔貌や筋肉の状態を記録するために写真撮影を行います。
左右数か所に注射を行います。筋肉の動きを確認するため、力を入れた状態を確認しながら適量ずつ注入します。(両顎で40単位)
定期検診にて効果を確認、記録します。効果は永続的ではないため定期的な治療をお勧めいたします。
注射部位に多少の赤みや腫れが残ることがありますが、通常1~2日で落ち着きます。また、注射した箇所の周囲に一時的に、かゆみ、痛み、発疹などの症状が出ることがあります。 稀に出る副作用として腫れが強く出たり、内出血を起こしたりすることがありますが、その場合は1~3週間ほどで目立たなくなります。
痛みの感じ方は個人差がありますが、強い痛みは感じません。痛みに不安がある方は刺入部を冷やして治療を行うことも可能です。
当日は入浴・飲酒・激しい運動は避けてください。(シャワー程度であれば問題ありません。)
洗顔は問題ありませんが、患部をこすったり揉んだりしないでください。
個人差はありますが、薬の効果は1~2週間で現れ、通常3~6か月持続します。その後、時間の経過とともに徐々に効果が消失し注射前の状態が再び現れてくる場合がありますが、ボツリヌストキシンを再投与することによって同様の効果が現れます。
当院は両側咬筋へ合計40単位を基本として、費用は22,000円(税込)+再診料550円です。施術時間は説明、表面麻酔などの時間を合わせて約30~60分弱となります。
美容目的では小顔やしわとりなどに使用されていますが、これはボツリヌストキシンの筋肉の緊張をほぐす効果を利用しています。歯科ではボツリヌストキシンを、噛む時に使う「咬筋」という筋肉に作用させることで、噛む筋肉の緊張を緩和し、食いしばりや歯ぎしりなどが改善されます。
ボツリヌス治療は、美容業界ではしわ取りの治療や小顔治療に一般的に使用されている薬剤で、美容目的では70カ国以上で使用されています。また、日本では眼瞼痙攣や片側顔面痙攣、痙性斜頸への効能が厚生労働省の承認を受けている薬剤です。